土井中照がお送りする「ミラクルワールド=愛媛」のご紹介です。
歴史や民俗、食材、郷土料理、名産品、パワースポット、県民性など、びっくりする情報をお届けします。

のんびりと生きたい愛媛県民

データに見る愛媛県民ののんびりさ

温暖な気候のため、のんびりしているといわれる愛媛県民。生活時間をどのように使っているかを総務省統計局の令和3年「社会生活基本調査」で検証してみました。

食事時間は1時間36分(37位)と全国平均よりもたっぷりと時間を費やしますが、通勤・通学時間になると57分(45位)。仕事時間が3時間23分、学業時間が35分と、どちらも最下位に近い時間でした。つまり、愛媛県民は通勤や通学が便利な割に、仕事や学業に頑張っていないという結果になっています。

睡眠時間は7時間53分(35位)と充分にとっている愛媛県民ですが、22時57分(15位)に就寝と、やや夜更かし気味。仕事や学業以外の時間を何に費やしているかというと、テレビや印刷物などのメディアを楽しむのが2時間51分と全国2位。趣味・娯楽に費やす時間は56分と全国一位に輝いています。

また、釣り人ランキングでは広島県民に次いで2位、園芸やガーデニングを愛する人が12位。音楽鑑賞27位、料理34位、DIY28位、読書29位、マンガ22位と、こちらはほぼほぼの数字です。
しかし体を使うのは嫌いのようで、ウォーキング19位、トレーニング29位、サイクリング36位、バスケット43位という結果になっています。

愛媛県民は負けず嫌い?

これらのことから判断すると、愛媛県民は仕事や勉学にあまり励まず、趣味やメディアに時間を費やすということがわかります。のんびりしているというよりも趣味に生きるタイプ。しかも、情報収集のための時間を惜しまないということは「おたく」ともいえるのかもしれません。

別の角度から見ると、メディアに触れることを厭わない愛媛県民は、他の人に差をつけるために、こっそりと情報を集めて自分の世界を確立することに精を出しているとも考えられます。情報で理論武装していく姿は、愛媛県民の負けず嫌いを象徴しているようです。

平成16年度に行われた『県民生活に関する世論調査』の「日常生活で充実感を感じる時」という設問では、「家族団らんの時」「ゆったりと休養している時」「趣味やスポーツに熱中している時」が上位3位を占めていますが、この結果に愛媛人の性向がよくあらわれているようです。

穏やかな愛媛県人はお遍路の影響を受けている?

愛媛には、四国八十八ヶ所を巡礼する人たちにとって「やさしい」場所だといわれます。お遍路さんに無償で飲み物や食べ物などをふるまう「お接待」も盛んに行われ、まさに「おもてなし」の精神が息づいています。

都から遠く離れた四国は「辺地」と呼ばれました。遍路は、辺地を巡ることであり、四国の海辺や山地に踏み入って修行をすることが根本となるのですが、札所巡礼のうちに四国の各地を巡錫して人々を救済しておられる大師の魂にめぐり会い「同行二人」の旅を進めていくのです。

かつては四国遍路を行う際には、檀那寺または庄屋の発行する通行手形を持たねばな離ませんでした。手形には、万一病死した場合には土地の風習に従って葬ってもらい、国もとへの通知はいらないことがしたためてありました。遍路の白衣姿は死に装束。また、納札用に札をはさむ板をつくり、表には「奉納四国中辺路同行二人」、裏には「南無大師遍照金剛」と書き、中にはさむ納札には「奉納四国中遍路同行二人」と書きました。四国霊場を札所というのは、納札を本堂の柱などに打ちつけるところから、「打つ」ということばが霊場詣りの意味にもなったのです。

日本女性史研究に生涯を捧げた高群逸枝は、24歳の頃に八十八カ所を巡礼し、その記録を『お遍路』や『娘巡礼記』として綴っています。逸枝は『お遍路』に

どんな不信な者でも、足ひとたび四国に入れば、遍路愛の雰囲気だけは感ぜずにはいられまい。ここでは乞食同様のみすぼらしい人であろうが、病気で不当な虐げを受けている人であろうが、勝ち誇った富家のお嬢さんであろうが、互いになんの隔てもなく、出会う時には必ず半合掌の礼をする。これは淡々たる一視平等の現われで、世間的な義理や人情の所産ではない

と記しています。逸枝は同書に「土佐海道は苦しく、阿波のそれは侘しかった。讃岐海道は空しく、伊予のそれは尊かった」とも記しており、愛媛県人のおもてなしは、昔から格別のものだったようです。