「よもだ」と「はせだ」
伊予弁に「よもだ」という言葉があります。仲間内で馬鹿なことをする人のことを指します。「四方山話」があれこれとつまらない話をすることを指すように、とるにたらないいたずら者をいうのです。
藩政時代、大がかりないたずらでは罰せられました。しかし、限定された範囲の中でのいたずらや仲間うちでのおふざけなら許されます。基本的にコップのなかの嵐、予定調和のいたずらなのです。ですから「よもだ」は「出た釘を打」たれる存在ではありません。体制のなかに安住するどこか憎めない人間像となります。日常を大切にして道を踏みはずさない愛媛人の代表なのです。
「はせだ」という伊予弁も愛媛らしい言葉です。「仲間はずれ」といった意味で、仲間うちからはみだした人を差別します。そのため、愛媛県民は世間からはみださないよう、まわりを確かめ、焦りのみえないのんびりとした生活をおくるのです。
NHKが平成八年(一九九六)に行った調査で「すぐれた人とそうでない人がいる」という設問に対し、「そのような区別ができない」とした人が全国六位という結果だったのは「よもだ」と「はせだ」の意味をよくあらわしています。
現実をしっかりと見すえると夢は小さくなります。スケール感のある人物はなかなか育ちません。「愛媛からは大人物が育たない」とされる由縁です。しかし、こうした官僚体質のためか、高級官僚になった愛媛人は全国十位、東証一部上場企業の役員になった愛媛人は全国6位という結果です。
大きな夢を持たず現実に目を向ける愛媛人は、成熟した社会のなかでは重宝される人材なのでしょう。大きな組織のなかで出世するにはほどほど気質や官僚体質のこつこつ人間である愛媛人がいいということなのかもしれません。 |