土井中照がお送りする「ミラクルワールド=愛媛」のご紹介です。
歴史や民俗、食材、郷土料理、名産品、パワースポット、県民性など、びっくりする情報をお届けします。

いもたきの秘密

日本三大芋煮

「日本三大芋煮」とは、山形県中山町・島根県津和野町・愛媛県大洲市の3つの市町の芋煮・いもたきのこと。どの地域も野外で鍋を楽しむ、季節の風物詩となっています。

中山町の「芋煮」は、最上川舟運の船頭たちが町内の船着き場で棒だら入り芋煮を作って食べたのが始まりとも、旧暦の8月15夜の「芋名月」の日に、芋をお供えする習わしから生まれたというものです。ただ、山形県の人々にとって、秋に行われる「芋煮会」は。牛肉と里芋、ネギのマリアージュ。参加必須の一大イベントで、1人あたり年3回は芋煮会に参加するといいます。河川敷に多くの人々が集い、里芋の入った大鍋を囲む姿は、テレビのニュースなどでお馴染みとなっています。

津和野では、小鯛のあぶりと昆布からとった清汁と里芋を組み合わせた「芋煮」が知られています。青野山麗にある笹山という地区で火山灰によって出来た里芋を使い、柚子皮をアクセントに添えた、すまし汁のようなシンプルな芋煮です。こちらでは河川敷で楽しむというよりも、マルシェなどで振舞われることが多いようです。

大洲のいもたき

肱川の河原では、秋が近づくと、「いもたき」がはじまります。鍋に里芋、鶏肉のぶつ切り、油揚げ、蒟蒻、生しいたけを入れ、ダシに砂糖、醤油を加えて煮る「いもたき」は、旧暦8月15日の仲秋の「芋名月」にふさわしい料理といえます。
「芋名月」とは、里芋の子を皮をつけたまま蒸し、三宝に盛って供えることから名づけられました。里芋が日本に伝わったのは稲作のはじまりと同じ頃で、奈良・平安時代には重要な作物となっています。大地からの収穫の感謝を月に捧げるこの風習は、九世紀後半から十世紀ころにはじまったといわれます。

大洲市特産の里芋は、長く煮ても煮くずれせず、口の中でとろける旨さがあります。品種は「女早生」といい、やわらかくねっとりとした食感、きめが細かく滑らかな口当たりが特徴。特に「勾玉(まがたま)」と呼ばれる芋は、味も姿も上品な逸品です。里芋の美味しさは、川岸の人々の苦労のあとを物語ります。肱川の洪水によって運ばれた肥沃な土が、大洲の里芋を美味しくするのです。

藩政時代に行われていた「お籠り」と呼ばれる親睦行事が始まりとされ、約300年の歴史があります。養蚕が盛んであった名残りで、白玉団子を繭の形にゆでて加える風習も残っています。肱川の河原でゴザを敷き、名月を愛でながら「いもたき」の鍋を楽しみます。

観光にも寄与する「いもたき」

この「いもたき」が大洲観光協会の肝煎りで行われたのは、昭和41年(1966)のことでした。河川敷で月を肴に里芋を味わうこの事業は、全盛期には年間7万人以上を動員していました。現在でも多くの観光客を集め、8月下旬の「いもたき初煮会」では、大鍋でつくった1500人分の「いもたき」が無料でふるまわれます。妙法寺河原では、名物の鵜飼いと重なる時期が1ヵ月間あり、右手に見える臥竜山荘(がりゅうさんそう)のライトアップと共に風景も楽しめます。秋になると河原で鍋を囲む姿が見られるのですが、家庭でも簡単につくることができます。また、材料と出汁の入ったゆうパックなどもあり、初めてつくる人でも安心です。

愛媛県では、大洲市のほかにも各地で「いもたき」がおこなわれます。それぞれの地域に特徴がある「いもたき」なのですが、18日に、愛媛各地のいもたきの特徴と、我が家のいもたきレシピをアップします。